いまさら聞けない話シリーズでは、統率者戦で遭遇するキーワード能力・処理・ルールの内、ややこしいものをピックアップしていくよ
能力を持たない=バニラ?
あれでしょ、繁華街を大音量で駆け抜ける高収入求人情・・・
それ以上いけない。
バニラとは開発部語でルール・テキストを持たないクリーチャーのこと
- 《ギガントサウルス》《長毛のソクター》等色拘束が強くマナレシオがバグっている
- 《甲鱗のワーム》のように信仰対象となっている
訳でもない限り、多くの上位互換が存在するため構築デッキに採用されることはない。
もっぱらセットデザイン、特にリミテッド向けに、色の特徴づけやバランス調整に利用されている。
カードプールが広い統率者戦で、わざわざバニラクリーチャーを採用することなんてある?
(ノД`)・゜・。ジブンデイッテテブーメラン
バニラクリーチャー部族カードは、長らく《ムラガンダの印刻》しかなかったのだが、ここ最近《忍耐強い教授、ラクサ》《七のジャスミン・ボリアル》といった伝説クリーチャーが登場!
統率者戦でバニラクリーチャー部族デッキを構築できそうな勢いだ
正確に言うと《ムラガンダの印刻》《忍耐強い教授、ラクサ》《七のジャスミン・ボリアル》の3枚はバニラクリーチャー部族カードではない。
バニラクリーチャーでなくても該当領域でルール・テキストを持たなければ能力を持たないことになり、これら3枚の恩恵を受けるからだ
ルール・テキストとは?能力とは?
《忍耐強い教授、ラクサ》《七のジャスミン・ボリアル》を統率者指定したいなら、ルール・テキストと能力について知っておきたい
まずはルール・テキストについて。
207.1 文章欄は、カードの下半分にある。多くの場合、ここにはそのカードの能力を定義するルール・テキストが書かれている。
引用:ルール・テキスト-MTG Wiki 総合ルール 20220708.0
そして能力について。
113.3 能力は大別して4つの区分に分けられる。
113.3a 呪文能力とは、インスタントまたはソーサリー・呪文が解決される間に処理される指示のことである。rule 113.6 に示す、起動型能力や誘発型能力や常在型能力でない、インスタントまたはソーサリー・呪文の文章は呪文能力である。
113.3b 起動型能力はコストと効果を持ち、通常は「[[[コスト]]]:[[[効果]]。][(あるなら)起動指示。]」という書式で書かれている。この種の能力は、そのプレイヤーが優先権を持っているときならいつでも起動できる。そうしたなら、その能力はスタックに積まれ、打ち消されるか解決されるかその他の方法でスタックから離れるまでスタックに残る。rule 602〔起動型能力の起動〕参照。
113.3c 誘発型能力は誘発条件と効果を持ち、「……とき/when」「……たび/whenever」「……時/at」を含む(通常はそれらから始まる)「[[[誘発条件]]], [[[効果]]。]」という書式で書かれている。誘発イベントが発生するたび、その次にいずれかのプレイヤーが優先権を得る時にその能力はスタックに積まれ、打ち消されるか解決されるかその他の方法でスタックから離れるまでスタックに残る。rule 603〔誘発型能力の扱い〕参照。
113.3d 常在型能力は普通の文で書かれ、単にその効果が発生する。常在型能力は、パーマネントがその能力を持って戦場にある間機能し続ける継続的効果を生み出すか、あるいはその能力を持つオブジェクトが特定の領域にある間に機能する。rule 604〔常在型能力の扱い〕参照。
引用:能力-MTG Wiki 総合ルール 20220708.0
逆に言えば、これら4つに該当しない場合、能力ではない。
《イクスリッドの看守》《謙虚》はともかく、バニラクリーチャー以外で能力を持たないなんてあり得る?
バニラクリーチャー以外で能力を持たないクリーチャー
変異・予示で裏向きのクリーチャー
裏向きクリーチャーならなんでも能力を持たない訳ではない。
例えば《霊園の庭師、イェドラ》で裏向きにしたクリーチャーは森・土地なのでマナ生成能力を持つ。
また、変異はそれを持つカードをプレイできるときに機能する常在型能力。
オモテ向きの位相では《ムラガンダの印刻》《忍耐強い教授、ラクサ》《七のジャスミン・ボリアル》の恩恵は得られない。
708.2 スタック上にある裏向きの呪文や裏向きで戦場に出ているパーマネントは、そのカード、呪文やパーマネントを裏向きにさせた能力やルールによって規定されている以外の特性を持たない。規定されている特性は、そのオブジェクトのコピー可能な値となる。rule 613〔継続的効果の相互作用〕、rule 707〔オブジェクトのコピー〕参照。
708.2a オモテ向きのパーマネントが、そのオブジェクトの特性を列記していない呪文や能力によって裏向き になった場合、それは裏向きで2/2の、文章、名前、クリーチャー・タイプ、マナ・コストを持たないクリーチャー になる。裏向きで戦場に出たパーマネントは、それを裏向きで戦場に出したり裏向きで唱えられるようにしたりする効果に他に記述されていない限り、上記の特性を持つ。これらの特性はコピー可能な値である。
引用:裏向き-MTG Wiki 総合ルール 20220708.0
裏向きクリーチャーを、変異コストやマナ・コストを支払って表向きにするのは能力じゃないの?
結論から言えば、能力ではない。
変異コストやマナ・コストを支払って表向きにするのは優先権を持っているときに行える特別な処理であり、スタックを用いず直ぐに実行される。
起動型能力ではないので《呪われたトーテム像》などで禁止できないし、対応もできないぞ!
一部の当事者カード
当事者カードとは、『エルドレインの王権』初出の特殊なカード群の総称。
716.4 スタック以外のいずれかの領域である間、また出来事でない状態でスタックにある間、当事者カードはその通常の特性だけを持つ。
引用:当事者カード-MTG Wiki 総合ルール 20220708.0
つまり、戦場や墓地にあるときは通常の特性のみを参照するため、通常の特性がバニラクリーチャーな《知りたがりの二人》など一部の当事者カードは、《ムラガンダの印刻》《忍耐強い教授、ラクサ》《七のジャスミン・ボリアル》の恩恵を受けられる。
色指標
かつて特性定義能力で色が与えられていたカードも、『イニストラード』から色指標が登場したことで、色指標で色を表すようにオラクルが変更された。
さらに色指標は能力には含まれないため、例えば《Kobolds of Kher Keep》はこの変更によりバニラとなった。
ここで厄介なのが、《Kobolds of Kher Keep》とは逆のパターン。
具体的にはすべての色である場合だ
《ギルド渡りの急使》は『ディセンション』収録当初は特性定義能力によりすべての色であった。その後、2011年9月のオラクル変更で特性定義能力から5色の色指標を持つように変更されていたが、『ラヴニカの献身』で同様に5色アーティファクト・クリーチャーである《ギルドパクトのスフィンクス》が登場した際、結局カードに直接書いた方が良いとの理由で特性定義能力に戻された。
引用:ギルド渡りの急使/Transguild Courier-MTG Wiki
《次元を挙げた祝賀》の1つ目のモードで生成する市民・クリーチャー・トークンはすべての色を持つが、これは特性定義能力によるものではなく、単にトークン自体が色を持つ。トークン・カードでは能力であるかのように書かれているが、これはわかりやすさのために書かれているだけである。トークン・カードは元来単なる目印であり、必ずしも通常のカードのように正確ではない。
引用:次元を挙げた祝賀/Planewide Celebration-MTG Wiki
同じすべての色でも
- 《ギルド渡りの急使》《ギルドパクトのスフィンクス》は特性定義能力
- 《次元を挙げた祝賀》の市民・クリーチャー・トークンは能力ではない
ってことか~
効果によってオブジェクトがある性質を得た場合
113.12 オブジェクトの特性を定めたり、あるいは単にそのオブジェクトの性質を決めたりする効果は、効果によって得られる能力とは区別される。オブジェクトが能力を「得る/gain」、「持つ/have」時、その能力は他の効果によって取り除かれることがありうる。一方、効果によってオブジェクトの特性が定義された場合(「[[[パーマネント]]]は[[[特性]]値]である/[permanent] is [characteristic value]」)、それは能力を得させることにはならない(rule 604.3 参照)。同様に、効果によってオブジェクトがある性質を得た場合(「[[[パーマネント]]]はブロックされない。」)、それは能力を得させもしないし特性を定義することもない。
引用:能力-MTG Wiki 総合ルール 20220708.0
例えば、《ムラガンダの印刻》で+2/+2修正を得ている《灰色熊》対象に《ならず者の道》を起動しても、+2/+2修正を得たままとなる
さいごに
MOでは今日現在《ムラガンダの印刻》が収録されているが、困ったことに変異・予示で裏向きのクリーチャー、一部の当事者カード、色指標いずれも修正を得られない。
《忍耐強い教授、ラクサ》を収録していない現状を鑑みるに、このバグを修正する予定はなさそうだし、《七のジャスミン・ボリアル》収録の予定もない!?
コメント