いまさら聞けない話シリーズでは、統率者戦で遭遇するキーワード能力・処理・ルールの内、ややこしいものをピックアップしていくよ
文章が改行しているか否かで効果が変わる!
MTGの文章欄は、可読性を上げたくても自由に改行できない。
どういうこと?
改行すれば可読性が上がるでしょ?
それは一般的な文章の話。
MTGのテキストは、改行のあるなしで効果が全く変わってしまう
例えば、《水銀の泉》の洪水カウンターと《成金、グヮファ・ハジード》の賄賂カウンター。
カウンターを置いた後に、《水銀の泉》《成金、グヮファ・ハジード》が戦場を離れた場合、
- 洪水カウンターが置かれた土地は、島か?
- 賄賂カウンターが置かれているクリーチャーは、攻撃やブロックに参加できないか?
え?
カウンターを置いた元凶がいなくなったんだから、どちらも効果なくなっているんじゃないの?
総合ルール113.2cにより、結果は異なる
1つのオブジェクトが複数の能力を持つことがある。そのオブジェクトがカードである場合、一行に並べられて書かれるあらかじめ定義された能力(rule 702〔キーワード能力〕参照)を除き、オブジェクトの文章の各段落は別個の能力を表す。カードでない場合、それを生成した効果によって複数の能力を得ることがある。また、オブジェクトは呪文や能力によって能力を得ることがある。1つのオブジェクトが同じ能力を複数持っている場合、それられは独立に機能する。これによって、能力が一つだけの時よりもより多くの効果を生むこともあるし、そうでないこともある。詳しい情報は各能力を参照のこと。
解答は以下の通り。
- 洪水カウンターが置かれている限りその土地は島であり続ける。なぜなら、カウンターを置く能力と、そのカウンターの意味を定義する能力の間に改行がない(単一の能力である)からである。
- 賄賂カウンターが置かれていてもクリーチャーは攻撃やブロックに参加できる。なぜなら、賄賂カウンターを置く能力とそのカウンターの意味を定義する能力の間に改行がある(単一の能力ではない)ため。
除去されても効果が続くなんて、改行がない(単一の能力である)方が強いじゃん(。-`ω-)
そうとは言い切れない
例えば、《成金、グヮファ・ハジード》を再キャストした場合。
すでに賄賂カウンターが置かれているクリーチャーは、その賄賂カウンターが再キャストした《成金、グヮファ・ハジード》によって置かれたものでなくても、攻撃やブロックに参加できなくなる。
賄賂カウンターは、何によって置かれたものかを区別していないためだ
さて、ここでクイズです!
以下のカードは改行がない(単一の能力である)か、改行がある(単一の能力ではない)か?
Q1. 《黒曜石の火心》の猛火カウンター
燃え続けるって注釈文があるからわかりやすいね
Q2. 《奪われし御物》の神性カウンター
Q3. 《霧氷羽の梟》の氷カウンター
Q4. 《エイヴンの擬態術士》の羽根カウンター
Q4.までやったけど、そもそもカード見れば改行があるか否かは一目瞭然なんじゃないの?
Q5. 《Rasputin Dreamweaver》の夢カウンター
ナマ言って済みませんでしたァー!m(_ _)m
印刷の見た目とは当然異なるので注意!
Q6.《Dreams of the Dead》の累加アップキープ2の付与と戦場を離れる際に追放される効果
カウンターでなくても、改行の有無は影響する
Q7. 《影の悪鬼》などの追放したカードをプレイする効果
《豪華の王、ゴンティ》《精神吸い》など、同様の効果を持つクリーチャーは多いね
Q8.《Form of the Squirrel》の敗北条件
最後は銀枠だけど、敗北条件が直感と異なるので出題してみた
さいごに
英語原文なら、いつでも正しく改行しているとは限らない。
例えば、『第10版』の《神の怒り》。
英語原文では破壊効果と再生禁止との間に改行があるけど、オラクル上では改行はない。
日本語訳ではちゃんと1行になっているね。
見栄えはともかく(;一_一)
これは、廃語である埋葬を用いたかつての文章、Bury all creatures.の美しさをオマージュしたため。
また、ルール上の改行ではなく、英語原文の改行の仕方が誤読を引き起こした例もある。
『ジャッジメント』収録の《焚書》は、上の画像のように印刷されている。
1行目の末尾にカンマがあるように誤読すると・・・
Unless a player has Book Burning,
deal 6 damage to him or her, put
the top six cards of target player’s
library into his or her graveyard.
プレイヤーが《Book Burning》を持っていない限り、そのプレイヤーに6点のダメージを与え、対象のプレイヤーのライブラリーの一番上のカード6枚をそのプレイヤーの墓地に置く、と読めてしまう。
メチャクチャ強力な火力じゃん
もちろんそんなことはない。
正しいオラクルは以下の通り
プレイヤー1人を対象とする。どのプレイヤーも「焚書は自分に6点のダメージを与える。」を選んでよい。誰もそうしなかったなら、そのプレイヤーは、カードを6枚切削する。
英語でも日本語でも、可読性を高めつつ正確な表記をするのは大変なのね(+_+)
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