素敵な日本画ミスティカルアーカイブだけど・・・
アーティストのひとり、夢子さんがイラストアートを担当された《儚い存在》と《記憶の欠落》が、本人が想定していたのと逆にカード化されてしまった。
アーティストとしては不本意だね
とはいえ、実はこの手のイラストにまつわるエピソードは、MTGでは枚挙にいとまがない・・・
例えば、マローの開発コラム「基本根本」シリーズからも、アート部分はセット作成の後半に検討している程度。
そこで、今回はMTGイラストにまつわるエピソードをまとめてみた
色が合わない!?
『オデッセイ』作成時のコラムなので22年前ではあるけれど、発注したイラストがカードデザインと合わなかったときにそのまま採用するのは良くないというスタンスを取っている。
結果として、『オデッセイ』の4枚ものカードが、イラストが理由で当初とは違うカードに使用されたんだね。
ってことは、《儚い存在》と《記憶の欠落》の日本画ミスティカルアーカイブも・・・
取り違いではなく、同じような調整を行った可能性はある
見栄え重視で縦横変える!?
黎明期の黒らしい対象制限があるピン除去。
このイラスト何だかよく分からないよね。
糸吐いてるゾンビ?
実はこのイラスト、Ron Spencerが縦横寸法を間違えて制作・提出したもの。
さらにリミテッド・エディションのアート・ディレクターであったJesper Myrforsが見栄えの良さのために時計回りに90度回したため、訳が分からないイラストになってしまった。
なので、このカードを反時計回りに90度回すと・・・
部屋の隅で恐怖している人か!
なお、このエピソードには続きがあり、
- 2004年9月のプレイヤー褒賞プログラムプロモでは、このキャラクターの正しい角度の新イラストが使用される
- ギルドパクト版《屈辱》の髪型や仕草は《恐怖》のオマージュだが、《恐怖》のイラストが90度回転したように《屈辱》の完成版もスケッチから180度回転されている
イラストの大きさが原因!?
どちらも『モーニングタイド』収録の白のクリーチャー。
《目覚ましヒバリ》のイラストは元々《光舞い》のために描かれ、《光舞い》のイラストは元々《目覚ましヒバリ》のために描かれたもの。
並べた時に4/3の《目覚ましヒバリ》が0/0の《光舞い》より小さく見えてしまうので、イラスト交換したのね(;一_一)
別セットだったら交換しなかったかもしれない。
だが、この2枚は同一セットな上にコレクター番号も連番なので、なにかと比較されやすい状況だったのが不運だったな
ナーセットって何歳!?
《古き道のナーセット》は『イコリア:巨獣の棲処 』神話レアで、ナーセットとしては4枚目のカード化。
歴史改変前の《悟った達人、ナーセット》は例外として、歴史改変後プレインズウォーカーになった《卓絶のナーセット》《覆いを割く者、ナーセット》とは、見た目の年齢差が激しい。
ニコル・ボーラスとの大戦を終えた後に、イコリアを訪れてるわけだから、そんなに年月経ってないよね?
イラストレーターであるYongjae Choiのツイートによると、「実際、私のアートディレクターは、50代半ばに彼女を見せてほしいと言っていました。 なんらかの理由があるのではないかと思いましたが、聞きませんでした。 誰か理由知ってる?」とのこと。
MTGを代表する赤い呪文!?
『オデッセイ』ではイラストの色調によって採用カードを変えてたけど、それよりも前、『アライアンス』収録の《意志の力》は思いっきり赤い。
これは発注時に誰かが誤ってTerese Nielsenに赤の呪文と指示したためで、例外的にそのまま採用されている。
飛んでいるのに飛行がない!?
黎明期の《Whippoorwill》《凍てつく影》の2枚。
イラストが飛んでいるように見えても、飛行と書かれてなければ飛行持ちではない。
総合ルールCR:203に書かれるほど当時は紛らわしかったのね
(;一_一)
アーティストはどちらもDouglas Shuler。
発注当時は、飛行の有無がゲームに影響するとは知らなかったんじゃないかな
違いが分からな~い!?
《永劫の輪廻》《Nether Void》《森の知恵》などでおなじみの黎明期のアーティスト、Harold McNeillが『テンペスト』収録の6種類の防御円を描いたんだけど・・・
青、赤、緑は各色が塗られていたのでまだ判別できるが、
白、黒、シャドーはモノトーンのため非常に間違えやすかった
最近もそんな事例があったような・・・!?
死霊=キツネザル!?
Lemureとは、死者の拷問された精神であり、永遠に堕落し、地上を歩くことを余儀なくされている、ローマに伝わる死霊のことなんだけど・・・
『アイスエイジ』収録の《Hyalopterous Lemure》は、死霊とは程遠い可愛いキツネザル。
アーティストが綴りをLemur(キツネザル)と勘違いしたためだよ(;一_一)
とは言え、キツネザルの英名Lemurの語源がLemureなので、あながち間違ってはいない。
責めるなら分類学者のカール・フォン・リンネか!?
なお、このイラストエピソードを元に、『時のらせん』で《粘つく霊命》が登場。
レムルスと霊命(れいみょう)の語感、ノリンがレミュー(キツネザル)と勘違いしているFTなど、マニアックなオマージュとなっている。
さいごに
MTGは国や人種を超えている上、現実世界ではなくファンタジー世界のイラストを発注するため、どうしても齟齬が起きやすい。
イラストは公開されてないけど、
- ドレイクを注文したら、小さいドラゴンではなく酔っ払いのイラストが返ってきた(どちらもdrake)
- 《ウルザの鉱山》を注文したら、鉱山(excavation mine)ではなく、地雷(land mine)のイラストが返ってきた
なんてエピソードもある。
逆に、大した設定もなかったキャラクターイラストが人気となり、伝説クリーチャーとして登場することも。
イラストはMTGの大きな魅力のひとつです。
アーティストにとってもWotCにとっても、良い方向に進むことを願っております
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